間違いやすい科目について

投稿日:2018/05/16

以下の科目は、間違いの多い科目であり、分析に当たり内容確認のうえ訂正が発生することが多い内容です。ご注意下さい。

繰延税金資産(流動資産、投資その他の資産)
繰延税金負債(流動負債、固定負債)
法人税等調整額(損益計算書)

 〇これらの科目は『税効果会計』という
  経理処理を採用している場合にしか発生しない科目です。

 〇間違い例:
  流動資産の繰延税金資産に 未収税金等を記載している
  投資その他の資産の繰延税金資産に 繰延資産(後述)を記載している
  流動負債の繰延税金負債に 未払消費税を記載している
  損益計算書の法人税等調整額に
        過年度の法人税を記載している
        還付額を記載している
        決算報告書の記載が『法人税等』となっているため
        『法人税等調整額』だと思って記載している
        →いずれも『法人税住民税及び事業税』に合算して
         下さい。

繰延資産

 〇建設業の財務諸表では、『創立費』、『開業費』、『株式交付費』、
  『社債発行費』、『開発費』の5項目しか計上出来ません。
  決算報告書では、税法上の繰延資産が計上されることがありますが、
  税法上の繰延資産は、内容によって 無形固定資産 その他 や
  投資その他の資産 その他へ計上します。

 〇税法上の繰延資産 加入金、加盟金、権利金、負担金 等

未払法人税等(流動負債)

 〇その期に確定した税額を計上する必要があります。
  そのため 計上が無い場合 内容確認と訂正が発生することがあります。

 〇間違い例:
  未払法人税等、納税充当金を 科目を立てずその他に含めている。
  未払消費税を未払法人税等に記載している。
  →未払消費税は未払法人税等に合算せず、科目を計上して下さい。

借入金(短期借入金・長期借入金)

 金融機関等からの借入金の他、代表者・役員・親族からの借り入れで
 無利息であっても借入金となります。
 借入金に合算するか 『役員借入金』等の科目名で計上して下さい。

建設業特有の科目について

 〇建設業様式の財務諸表においては、建設業特有の科目があり
  内容によって該当する科目名に変更する必要があります。

  完成工事未収入金/売掛金/未収入金
   決算報告書では、売掛金、未収入金として記載されていることが
   ありますが、内容によって 科目と金額を分けて記載します。
    完成工事未収入金:完成工事高に計上した
             工事に係る請負代金の未収額
    売掛金     :兼業事業売上高に計上した請負代金の未収額
    未収入金    :上記いずれにも該当しないもの

  未成工事支出金/兼業事業支出金
   決算報告書 仕掛品について 内容によって科目と金額を分けて
   記載します。
    未成工事支出金:建設工事に係るもの
    兼業事業支出金:兼業事業に係るもの

  材料貯蔵品/販売用資産
   上記同様 原材料、貯蔵品、商品、販売用不動産 等を
   内容によって分けます。
    材料貯蔵品:建設工事に係るもの
    販売用資産:兼業事業に係るもの
   ※『たな卸資産』での計上は出来ません。
    訂正が必要となりますので、必ず科目を特定して下さい。

  工事未払金/買掛金/未払金
   決算報告書では、買掛金、未払金として記載されていることが
   ありますが、内容によって 科目と金額を分けて記載します。
    工事未払金:工事費の未払額
          (工事原価に算入されるべき材料貯蔵品の
           購入代金等を含む)
    買掛金  :兼業事業費の未払額
    未払金  :上記いずれにも該当しないもの

  未成工事受入金/兼業事業受入金/前受金
   決算報告書では、前受金として記載されていることがありますが、
   内容によって 科目と金額を分けて記載します。
    未成工事受入金:仕掛工事の前受金・中間金等
    兼業事業受入金:兼業事業の前受金等
    前受金    :上記いずれにも該当しないもの

減価償却実施額

 〇経営状況分析申請書 項番18,19に記載する『減価償却実施額』に
  ついて

  財務諸表に「有形固定資産」もしくは「無形固定資産」として
  記載され、『減価償却費』として費用計上されている償却額のことを
  指します。

  確認書類
   税務申告書の別表16(1)、16(2)等 もしくは
   それに代わる減価償却実施額の明細書等の提出が求められます。
   なお、リース資産、一括償却資産、少額減価償却資産で
   減価償却費として費用計上されている場合は、
   その確認書類(別表16(4),(7),(8)等)も必要です。
   繰延資産であるもの、消耗品等で処理されたものは
   含めることが出来ません。

  端数処理
   経営状況分析申請書 項番18,19に記載する『減価償却実施額』は、
   千円単位で記載し 端数処理は千円未満切り捨て と定められています。
   確認書類が複数ある場合は、それぞれの償却額を一円単位で合計し、
   合計金額の千円未満を切捨てた数字を記載します。

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